独り言

本当に独り言です

残り香の巻

人のにおいって意外と覚えてるよねって話。

 

自分のにおいってどんな感じなんだろうって、

たまに気になったりする。

人のにおいはよく感じられるけど、

自分のにおいはわからないから、

たまに今漂っているにおいは他人のにおいなのか自分のにおいなのかってわからなくなる。

 

人のにおいっていうと、

だいたいシャンプーのかおりとか柔軟剤のかおりとか、

香水を使ってる人はその香水がその人のにおいになったりするよね。

シャンプーも柔軟剤も香水も、

世間一般に流通しているから、

その人のにおいというか、

その商品のかおりのはずなんだけど、

同じシャンプーとか、

同じ柔軟剤とか、

同じ香水を使ったら、

自分とその人が全く同じにおいがするようになるかって言われたら、

なんとなくしないような気がする。

あくまでもそのにおいはその人のにおいであって、

自分のにおいとはまた違うんだろうな。

 

だから逆ににおいを嗅ぐと、

特定のものが思い出されることもあるよね。

このにおいはあの人のにおいだってなる時もあるし、

帰り道に漂うにおいを嗅いで、

晩ごはんを想像したりする時もある。

 

日本語には、

「におい」と「かおり」って2つの言葉があって、

「におい」は「匂い」と「臭い」

「かおり」は「香り」と「薫り」をよく使うと思う。

僕はなんとなくにおいっていうと生物の身体とか肉体から発せられるにおいのイメージがあるし、

逆にかおりっていうと生物以外の物から発せられるにおいのイメージがあるけど、

実際は「匂い」「香り」「薫り」がいいにおいで、

「臭い」はよくないにおいに使われるらしい。

日本語って難しいね。

 

実際にはなにもないのに、

そこににおいが足跡をつけていたりする。

そこにいるはずもないのに、

見えないのに、

そこにはなにかがあるのを感じられるし、

逆ににおいだけで、

想像すればそこにないものを存在させることもできる。

 

でもそれが残るのはほんの一瞬で、

気がつくとそこにはなにもない。

なにかがいたはずなのに、

そこには虚空があるだけで、

なにもない。

その一瞬の儚さがまた、

美しく、

そして切ない。

 

ひとりになった時に、

ふと誰かのにおいがする。

頭の中でははっきりとその人だってわかるのに。

ただの虚空に、

その人の面影を感じたいと思ってしまうなんて、

気持ち悪いね。

ごめんなさい。