高校の先生に呼び出されたので、
久しぶりに高校に行ってみた。
数週間前にも来ているはずなのに、
母校の姿はどことなく新鮮で、
僕はやはりもうよそ者になってしまったのだと、
ひしひしと感じた。
いつもは部活に顔を出しに行くのでジャージを着ているけれど、
今日は私服である。
3年間私服で通っていたのに、
なんとなく入るのを躊躇ってしまった。
部活の顧問の先生が玄関まで迎えに来てくれて、
そのまま職員室に通された。
在学中は入るのもなかなか躊躇った場所だが、
ここまでくると逆にすんなり入れる。
在学中は見渡すのも勇気が必要だったが、
部外者になってしまうと部屋全体を見る余裕ができる。
職員室ってこんなに広かったっけか。
空いている机に座らされて、
出てきたのは見覚えのある3枚の書類。
合宿の手続き書類だった。
夏休みになると母校では部活動の強化合宿があり、
毎年OBが何人かその手伝いで合宿に参加する。
参加するためには申請書類を書かなければならず、
どうやらその締切日が今日だったらしい。
どうりで先生が慌てて連絡を寄越したわけだ。
もっと早く言ってくれればよかったのに。
そんなこんなで机に座って黙々と書類を書く。
さすがに先生になった気はしなかったが、
楽しそうな先生の話し声を聞いていると、
なんとなく高校時代が懐かしくなってくる。
書類を書き終えて顔を上げると、
在学中にお世話になった先生方が、
僕に気づいてくださった。
中には数ヶ月しか授業を持ってなかったのに、
僕のことを覚えていた先生もいらっしゃった。
あれだけ人と接する仕事をしているのに、
よくそんなに人の名前と顔を覚えていられるものだ。
僕なんかテスト勉強で手一杯で、
今日も自宅と携帯の電話番号を何回も忘れかけた。
今日は特に記憶力が悪い。
無事に印鑑を押して、
先生に書類を提出する。
お礼にあげるよと、
せんべいを1枚もらった。
うちの部活の顧問の先生は、
どこか変わっていて、
面白い先生である。
久しぶりに訪ねた高校は、
どこか懐かしく、
どこかよそよそしい場所になってしまった。
まぁそれも自然のことなのかもしれない。
メインの合宿はいよいよ3週間後。
まだやらなきゃいけないことはたくさん残っている。