独り言

本当に独り言です

秘密の巻

どれだけ寂しいと嘆いても、

二度と夜は帰ってこないから。

この瞬間が、この感触が、

逃げてしまうのは怖いけど、

朝は容赦なくやってくる。

 

夜に置いてきた忘れ物は、

朝になると取りに帰れないから。

朝日の差し込む部屋の隅で、

空っぽの手のひらをのぞき込む。

 

結局手元には何も残らなかった。

思い出そうとした感触も、

ちゃんと思い出せなくて、

思い出したかった感情も、

いつの間にかどこかに忘れてきてしまったようで、

虚構を掴もうと必死になる手を眺めることしか出来ない。

 

これは、

私と夜が結んだ秘密の物語である。