CDの巻
近所のありとあらゆる百均を2時間かけて回り、大きなレジ袋を抱えて帰宅した。
片付け週間4日目。
今日は、昨日整理しきれなかったラックと、途中までしていた机の小物整理をするために、収納ボックスを買ってきた。
大学の授業のノートやプリントをファイルにしまい、机にしまってあったストラップやキーホルダーを小物入れに収納して机の引き出しに入れる。
4日目にして、ようやく机周りが少しずつ綺麗になってきた。
コロナウイルスのせいで春休みがまだあと1ヶ月あるからいいものの、当初1週間で終わらせる予定だった片付け計画は、本来ならば折り返し地点である4日目にして全体の7割が手付かずという状態で、果たしていつになったら終わるのか、当の本人にも検討がつかない。
本日最後の片付け場所は、机のラックとは反対側の壁沿いに並べられていたCDケース郡である。
高校に入学して日常的に都会に行くようになった(高校の最寄り駅は高田馬場だった)私は、高校の帰りに新宿まで足をのばしてタワレコに向かい、そこで人生初のCD購入を果たしたのである。
2015年5月下旬。購入したのは、敬愛する星野源の「SUN」だった。
以降、星野源以外にも面白そうな曲が発売されるとタワレコに行ってはCDを買う日々が、3年間程続いた。
購入したCDは、おそらく100枚近いのではないだろうか。
8つのCDケースにぎっしり積まれたCDが、CDラジカセを囲むように置いてある。
収集癖のあった私には、CDを買い集めるという行為が非常に魅力的だった。
だいたいのCDは水曜日が発売日になるのだが、実際に店に届くのはその前日の火曜日であり、火曜日の夕方にはだいたい新譜がもう並んでいる。
私は火曜の放課後の部活が終わると、そのままよくタワレコに向かっていた。
目当てのCDは、歌手の人気度にもよるが大抵大きなPOPと共に目につく場所に置いてあって、私は店に入ってでかでかとそびえ立つPOPと、その真下に綺麗に並べられているCDと、そこに群がる人々を見るといつも、嬉しさと喜びと少しばかりの恥ずかしさが混じった形容しがたい気持ちに襲われていた。
そして、人気が少しなくなってきたあたりで売り場に向かい、POPを端から端までまじまじと読み、CDを手に取って何度も眺めては、私はこのCDが買いたかったのだと何度も心の中で確かめながらレジに並んだ。
そこから家にCDを持ち帰るまでの約1時間、私は何度も何度も中身を確かめては、ようやく手に入ったCDを丁寧に手で包んでいた。それほど、当時の私にとってCDは大事な物だったし、今も変わらず大事なものなのである。
ストリーミングサービスが増えてきて、CDも売れない時代と言われているけれども、私がタワレコの店頭で感じたあの気持ちが失われなければいいな、と思っている。
私はCDのケースをひとつひとつ拭いて、またケースにしまった。