コナン映画の巻
最近のコナンの映画はアクションに振り切りすぎていて、どうもいけ好かない。見ていてつまらないことはないのだが、本来の謎解きという要素よりも、キャラ立ちを狙ったアクションの演出が増えすぎている。
元々、コナンには様々なキャラクターが出てくるが、今まではそれほどキャラクターの中身に対して焦点を当てていなかった。ストーリーは謎解きがメインだったし、キャラクターは捜査や謎解きの途中で必要な部分までしか掘り下げられていなかった。
しかし、最近は専ら事件の推理というより、黒ずくめの組織のボスやNo.2は誰なのか、誰が組織の裏切り者なのか、誰と誰が関係者なのか、といった「キャラクター」に焦点が当てられている。
その流れで、各キャラクターの人気も上昇してきた。
最近で言えば、「赤井秀一」「安室透」「怪盗キッド」の人気はずば抜けて高いと言えるだろう。
この人気を使わない手はない。
では、これらのキャラクターをどうやって使うか。
本来、タイトルの通り、この作品の主人公は「コナンくん」であり、作品の根幹を担う“推理”は、主人公のコナンくんの独壇場だ。
つまり、彼らに推理で勝負をさせると、全てのキャラクターはコナンくんにおいしいところを持っていかれてしまう。
そこで、彼らには別の見せ場が与えられる。
それが、アクションシーンなのだ。
コナンくんは小学生という身体的制限のせいで、ほぼその活動を推理にとどめざるをえない。
スケボーなどの、阿笠博士の小道具を使ったアクションはできるが、格闘技などのアクションはできないのだ。
それゆえ、京極真には空手、赤井秀一には狙撃、服部平次にはバイク、怪盗キッドにはマジックやハンググライダー、といった見せ場が用意され、各々が活躍するために、必然的にバトルアクションの展開が増えていった。
今では、キャラクターの人気はうなぎ登り、興行収入も右肩上がりである。
アニメ業界にとって、キャラクタービジネスは生き残る上で必須になっている。
そして、コナンの近年の伸びというのは、その成功例になっていくかもしれない。
このままいけば、きっとコナンの映画は今後もアクション路線に舵を切っていくのだろう。
しかし、キャラクター以前にミステリーを楽しみにしている私にとっては、アクションシーンは多すぎると困る。
そもそも、時間が決められている映画やアニメでのアクションシーンの増加は、それだけ推理に割ける時間の減少を意味する。
その結果、謎解きがお粗末になり、謎解き部分の爽快感が薄まってしまうのは、少し複雑な気持ちである。
私は大長編で繰り広げられる、複雑な謎を解くコナンが見たい。
そしてコナンと一緒に謎を解き、点が線になる感触を味わいたいのだ。