元々の巻
実は元から体調が悪かったのかもしれない。
ここまで来るとそう思わざるを得ない。
連日のように熱が37℃まで上昇し、夜になると頭痛が激しくなる。
そんなことは実は前から日常茶飯事であって、これまではそれに気づいていなかっただけなのかもしれない。
コロナウイルスの蔓延によって毎日体温を測るようになったことで、私が毎日37℃の熱を出していることが明るみになっただけなのだ。
そもそも、体温計というただの棒切れが信用に値するのかすら、怪しい。
別に何回測っても36℃が出る体温計であったとしても、熱がある実感がなければそれを疑う必要もないし、逆に明らかに熱がある実感があるのなら、36℃と言われても熱があると判断するだろう。
37℃なって微熱の微に引っかかるかどうか程度の熱でごたごたするのも面倒だが、このご時世なので仕方ない。
ましてや親が少しそういうことに敏感になっていれば尚更である。
20歳とは言えど、実家にいる間は親の子である。
こんなことで親の言うことに逆らう気は起きないし、実際若干体調は良くないのだから、逆らう理由がない。
頭痛だって、多分今に始まったことではない。
今までの私が忘れていた(感じていなかった)だけで、実はずっと頭は痛かったのかもしれない。
迷路作りにハマって、熱があることに気がつかずに迷路を作り続けて倒れたり、パズルにハマりすぎて鼻血を出したりするような少年だったから、ちょっとの頭痛くらい忘れていたっておかしくはない。
元はと言えば、コロナによってもたらされた自粛生活が、元々様々な活動を通して“拡張”していた身体を、等身大の大きさまで“収縮”させたからこそ、こういう細かい体調の変化が悪目立ちするようになったのであって、いつも通りの生活を送っていれば、こんな取るに足らない変化になど気づかなかったのである。
果たして、この小さな変化への気づきが吉と出るか、凶と出るか。
今のところ、出た目は凶でしかない。