好物の巻
自分の好きな物について考えている。
ゼミで自分の好きな物を発表しなければいけなくなった。
しかし、これと言って他人にオススメできるような好きな物が見当たらない。
好きな物自体は色々あるはずなのだが、別にそれを他人に薦めたいとは思わないし、そこまで理由があって好きな訳でもない気がする。
ゼミには詳しい分野が多岐に渡る人がたくさんおり、だいたい何を言ってもそれ以上の知識を持ち出されるので、果たしてこれを本当に好きだと言っていいのか不安になってしまう。
好きが段々形骸化していく。
好きというのは、こだわりに近いのかもしれない。
自分の中で譲れない“何か”があって、それのことをわかりやすく「好き」と呼んでいるだけなのかもしれない。
そうすると、好きな物を紹介するということは、自分の中のこだわりを言語化することになる。
好きという抽象概念が、言葉によって現実に引き下ろされる。きっとそういうこと。
私は今から1週間かけて、自分の中のこだわりを探さなければいけないのだ。