懐古の巻
結局、データは戻って来なさそうだ。
空になった昔のスマホは、もうただの黒い板になってしまっている。
嘆いていても音楽は帰ってこないので、手元にあるCDから改めて音源を入れることにした。
部屋の隅で眠っていたCDボックスを引っ張り出してくる。
小さいボックス6つと、大きいボックス3つ。
100枚以上あるCDのほとんどは、高校3年間で買ったものだ。
あの頃の私は2〜3ヶ月に1回、月末のポイントセールの時期を狙って、新宿のタワーレコードに通っていた。
YouTubeで気に入った曲の入ったアルバムを3〜4枚買うと、だいたい金額が1万円を超えて、ポイントが普段の15倍貯まる。
当時は100円で1ポイントだったから、毎回1500ポイントずつの積み重ねだった。
当時の私は、1万5000円くらいするワイヤレスイヤホンを、ポイントで買おうとしていた。
普通に買えば1万5000円で済んだのに、ポイントを1万5000円分貯めようとしていたから、恐らくあの時の私は、1年間で10万円以上をCDに注ぎ込んでいた。
その結果が、今のこのCDの山である。
アルバムの単価が約3000円、シングルの単価が約1500円としても、多分30万円分くらいのCDがここに揃っている。
そう考えると恐ろしい金額だ。
久しぶりにCDを手に取った。
買った順番は全然覚えていないが、どの曲がお気に入りでそのCDを買ったのかはなんとなく覚えている。
アーティストが好きになるというよりも、曲が好きでCDを買っていたから、色々な人のCDがあった。
中には、今はあまりお気に入りでもないCDもある。
人の好みは少しずつ変わっていく。
6時間くらいかけて、6割くらいのCDを取り込んだ。
全部の曲を聞くには、どれくらい時間がかかるんだろう。
明日か明後日には、全部のCDを取り込みたいな。
元のデータに比べて足りない部分は多いけど、それはまた今度、ゆっくり集め直せばいいよ。