読書の巻
課題という名のストレスに滅法弱くなってしまった私は、現実逃避のために本を読むことにした。
本を読むということは、何かと崇高なことであるように思われがちである。そしてまた、私もそのような妄想を抱いているうちの1人だ。
本を読めば新しい知識を得ることもできるし、摩訶不思議な世界を体験することも、赤の他人になりきることもできる。最近の人は本を読まないという嘘か本当かわからない噂もあるが、本を読んでいるというステータスは、何かとアドバンテージであるかのように受け止められる。本を読んでいる人は何かと知的に思われがちだし、そこに細渕のメガネでもかけていようものなら、ますます見た目のインテリぶりは加速すること間違いないだろう。
しかし、このような現象は全て私の妄言でしかない。私はたまたま本を読むということがさも素晴らしいことであると思い込んでいるから、このような発言をするのであって、本を読むことよりも音楽を聴く方が素晴らしいという人もあれば、舞台を観劇する方がよいとか、新聞を読む方がよいとか、映画を見る方がよいとか、テレビを見る方がよいとか、あるいはTwitterを眺めている方がよいという人もいるかもしれない。
ただ少なくとも、課題を前にして時間を浪費するのであれば、私はTwitterやテレビや映画を見るよりは本を読んでいる方がまだマシだと思っている。
更に言えば、本やTwitterやその他娯楽と呼ばれるものに走るよりも、覚悟を決めて難解な課題に取り組む人の方がよっぽど崇高であって、こんなものは地べたに座り込んでイヤイヤと喚いている大きな子供の戯言に過ぎないのである。
そんなことを申し上げているうちに、私はまた1冊の本を読み終えてしまった。なんと愚かな男であろう。
窓を開けると、三日月が夜空に横たわっている。
夜はまだ長い。私は再び課題に取り組む決心をしなければならないようだ。