右の耳から左の耳の巻
人の話が全然頭に入ってこない。
耳からの情報よりも目からの情報が優先されてしまっているせいで、会話の内容が完全にBGMとして抜けてしまう。
右から聞こえた会話をそのまま左に受け流す、まさにムーディー勝山状態である(?)
最近、銭湯に行かざるを得ないので、せっかくだから他人の会話でも盗み聞きして、地元で何が流行っているのか注目してみようと思っていた。
大体銭湯にグループで来て喋り倒している人間は、私と同世代か少し下、あるいは少し上の世代なので、極端に世代の違う話はしないだろうし、そんなに全くちんぷんかんぷんな話はせんだろうとふんでいたのだ。
しかし、実際聞こうと思うと内容が全く頭に入ってこない。
話を聞こうとしているのに、目の前の壁に貼ってある「混雑時、泡風呂は5~10分を目安に交代をお願いします」とか、「ジェットバスは深さがあるため、小学生以下のお子様はご利用できません」とか、「水風呂に入る際は、汗を流してからお入りください」みたいな掲示物の内容ばかり頭に入ってくるのである。
目を開けていると掲示物の文章を追ってしまうので、目を閉じて話を聞こうとするのだが、そうすると脳内の自分の声にかき消されて話が聞けない。
でも目を開けると自然と掲示物の文章を追ってしまう。
その葛藤を繰り返している間に、若い衆は風呂から出てしまうので、結局話を聞くことはできないのである。
これ程話が聞けない原因はどこにあるのだろうか。
ひとつは、最近やたらめったらラジオをBGMとしてかけすぎて、人の会話を完全にBGMとして分類している説がある。最近テレビとか親の会話も聞けない時があるので、この可能性は大いにある。
また、単純に人の話に興味がなさすぎる可能性もある。テレビや親の会話も興味がないから聞けていないのかもしれない。ましてや銭湯で出会った見ず知らずの男共の会話なんか、興味があるはずがない。
意外とあっさり結論は出てしまった。
要するに、私は他人の話に興味がないし、無理して聞くつもりも毛頭ないのだ。なんだそんなことか。
それならせっかく銭湯に浸かり放題なんだし、これからはもっと純粋にお風呂を楽しむことにしようっと。