ランニングの巻
3週間後の卓球の試合に向けて、ランニングを始めた。
高校卒業と共に現役からは退いたが、それでもまだ大学生。それなりに動けると思い込んでいた。
ネットで調べたところ、はじめは20~30分程度、ゆっくり走るのがどうやらいいらしい。
20分?ゆっくり?余裕だろ?そう思って家を出た。
夜の帳がすっかり降りて、月明かりの下、私は走り出した。
地元では有名(だと勝手に思っている)な周回コース。1周約1.5kmと、そこまで長い距離じゃない。
20分だと2周くらいできるな、とか、そんなことを考えながら最初は走っていた。
走り出して5分後。
既に私はバテバテだった。
疲れて走れないとか、今にも倒れそうとか、そこまでではない。
ただ、息は上がって、足を前に出すのが辛く、たった数百メートルが永遠かのように長かった。
そこで走るのを辞めるのは簡単だったが、辞めたところで再び走り出せる気力が私にはなかった。
だから、私は辛抱して走った。自転車に抜かされようと、地元の中学生に抜かされようと、自分のペースを守って(守らざるを得なかっただけだが)、走り続けた。
走り始めて10分。
なんとか1周止まることなく走り続けた私は、迷うことなくコースを離れた。
腿がじんわりと痛むのを感じた。
そして、ランニングのことを舐めていた私を恥じた。
走り終わった私は、罪滅ぼしとして、いつもよりちょっと遠回りして家に帰った。
ネットによると、最初は疲れたらウォーキングに切り替えても十分効果があるらしい。
ありがとう。妥協を許してくれたランニングの、なんと懐の深いことか。
次はもっと長く走れるように頑張ろう。
私はそう誓った。
あまり時間はないが、少しでも体力を戻さなければならない。
私の挑戦が始まった。