雪景色の巻
目が覚めると、窓の外に雪がチラついていた。
辺り一面の銀世界とは言い難いものの、屋根や道路には雪がうっすらと積もり、街は薄化粧を施したような美しさに包まれていた。
いつも元気な子供の声も、今日はあまり聞こえない。
舞い散る雪がなければ、時が止まったかと見紛う程である。
雲が降りてきたかと思うような灰色の世界で、細かい雪が右から左へと流れてゆく。
その姿は川面のようでもあり、新宿駅の改札前のようでもあった。
時々道に迷った雪のつぶが、ひょろひょろっとベランダに入ってきて、そのままぼとっと不時着する。
そのかわいらしさといったら。
音もなくついた街灯のあかりが、積もった雪に跳ね返って、いつもより街が明るく見えた。
どこかではしゃぐ子供の声が聞こえる。
しんしんと降る白雪。
あかい街灯。
黄色い声。