独り言

本当に独り言です

自転車の巻

自転車も悪くないなと思った。

 

最近、なにかと自転車に乗る機会が多くなったが、本来私は徒歩愛好家である。自慢ではないが、高校生の時に新宿から駒沢公園まで歩いたことを皮切りに、高校から自宅まで13kmを踏破し、新宿から自宅まで、自宅とスカイツリーの往復など、10km以上の距離を何度も歩いたことがある。挙句の果てにはサークルの合宿の自由時間を利用して山中湖を1周し、周囲にドン引かれるという芸当までこなしたくらいである。

 

しかし、ついこの前近所のBOOKOFFに向かって自転車を飛ばしている時、私は少しだけその面白さに気づいてしまった。自転車に乗っている時の景色が、忍者ランに似ているのである。

 

忍者ランとは私が勝手にそう呼んでいるだけであって、マリオランとかソニックランとか呼び方は様々あるだろうが、要は屋根の上を人が飛んだり跳ねたりするゲームのようなものだ。

このゲームを遊ぶのに必要なものは想像上の忍者、イマジナリー忍者のみである。これは同様にイマジナリーマリオでもイマジナリーソニックでもイマジナリールフィでもイマジナリー孫悟空でもイマジナリー棒人間でも誰でもよい。想像力のない人は、自分の右手か左手の人差し指と中指で人のようなものを作ってくれればそれで事足りる。

そして遊び方も至ってシンプルで、高速で通り過ぎる景色の中で、主人公である忍者なりマリオなりその他諸々に対して、適当なタイミングでダッシュコマンドを入力し、その主人公を建物の屋根から屋根へ、地面から地面へ、電線から電線へと飛び渡らせるだけである。読者諸兄の中にも、特に特急電車で長距離を移動している時に遊んだ方がいるかもしれない。

 

そしてここからが最近の私の気づきなのだが、自転車に乗ると、その忍者の気分になれるのである。

自転車ゆえ、ジャンプコマンドの入力は不可能だが、人の具合、車の具合、道の具合、信号の具合に合わせて絶妙な加減速を行うことによって、様々な障害物をスルスルと抜けていくことができるのだ。

自転車という、徒歩と車のちょうど中間のような乗り物(道交法上、自転車は軽車両のため車に分類されるが、そんな些細なことを気にしてはならない)であるからこそ、この奥ゆかしいゲームを楽しむことができるのであり、これは徒歩にも自動車にも味わうことはできない。元の忍者ランにもある絶妙なチート感を兼ね備えている、自転車だからこそ成し得る芸当なのだ。

 

私は自分の自転車を持ち合わせていないものだから、毎度毎度母親に頼み込んで自転車を借りている。そのせいであまり好き勝手に乗り回すことはできないが、いつかもっと余裕があれば、自分の愛車を購入することも検討しようと思う。

さて、次は自転車でどこまで行こうかな。