諸悪の根源の巻
私の母は、スマホこそが私に関する諸悪の根源であると信じて疑わない、熱狂的なアンチスマホ論者である。
母は私が四六時中スマホしかやっていないと思い込んでいるし、何かと私が母の意に反することをしでかす度に「スマホばっかりやっているからじゃないの?」と、STAP細胞も興醒めするくらい捏造された因果関係を押しつけてくる。
今日もそうであった。
話は、かつて圧倒的な店員数で私を半殺しにしかけた、かのヤマダ電機からセール開催を知らせるハガキが届いたことに始まる。
私がパソコンのバックアップ用のSSDを買おうとしていることを知っている母は、そのハガキを見せながら私に「買いに行く気はあるのか」と聞いた。
私は「先日、ガンプラを探しに秋葉原まで行き、ついでにSSDも見ようと思っていたが、売り場の店員の数の多さに気圧されて、結局何も見ずに帰ってきた」とありのままを話した。
すると、母は私のその行動が余程信じられなかったのか、暫し唖然とし、そしてお得意の一言を放った。
「スマホばっかりやってるから、人とコミュニケーションが取れないんじゃないの?」
実際、これは半分事実である。
確かに私は店員とのコミュニケーションが苦手であるし、できることなら店員とは最低限の会話以上はしたくないと思っている。
ただ、これはあくまでも私の性格上の問題であって、スマホが原因ではない。
そもそも、私はスマホを持つ前から、なんなら物心ついた時には既に人見知りであったし、店員とのコミュニケーションも苦手であった。
小学生の頃の私ですら、廻るすしざんまいでサビ抜きの寿司しか食べられないくせに(当時の私はまだ生魚を食することができた)、レーンの中央にいる寿司職人に声をかけて注文を伝えることを渋りに渋って、結局レーンに流れている物の中で唯一サビ入りの心配のない納豆巻きと玉子を手当り次第にドカ食いする始末であった。スマホを持つ5年以上も前のエピソードである。
スマホによって私の私生活に悪影響が出ている可能性は否定しないが、かといってスマホが諸悪の根源だというのも話が違う。
この悪癖は、いつになったら治るのだろうか。