中盛の巻
初めて、牛丼の中盛を食べた。
誰もが知ってる牛丼チェーン店、すき家。
私が初めて行ったのは、高校生の時だった。
当時、食費をケチりにケチりまくっていた私にとって、300円ちょっとで食べられる牛丼は外食界の希望と言っても過言ではなかった。
ただ、その頃の私は、なぜか牛丼の並盛が食べられなかった。
正確には食べられたし、食べ切ってもいたのだが、並盛を食べると毎回お腹がはち切れそうな程の満腹感に襲われるため、いつもミニ牛丼にサラダのセットをつけて腹を満たしていた。
私は、大量のご飯と甘いタレが終盤に重く響くせいで食べ切るのが難しいのではないか、という結論に達していた。
そして今日、私は実に4年ぶりにすき家の門を叩くことになった。
久々のすき家。私は怯えながら牛丼の中盛を注文した。
中盛というのは、どうやら並盛よりご飯の量が少なく、牛肉の量が多くなっているものらしい。
ただ、ご飯の量が減ったとはいえ、総重量では中盛の方が重い。
果たして本当に私は食べ切れるのか。半信半疑のまま、牛丼がテーブルに届いた。
そしてその5分後、テーブルの上には空になった器がぽつんと置かれているばかりだった。
なんと、私は牛丼の中盛を食べ切ったのである。
しかも、途中でその量に苦戦することなく、いとも簡単にペロリとたいらげてしまったのだった。
食べ終えた私も、想定外の結果に半分驚きながら、そそくさと店を後にした。
私が昔あれほど苦戦していた並盛は、一体なんだったのだろう。