独り言

本当に独り言です

大人の階段の巻

久しぶりに中高の友人と約束をして飲みに行った。

サークルの人以外と飲むのは初めてだったから、

思ったより楽しかったし、

自然と酒も進んだ。

お腹も満たされて、

精神も満たされて、

この感覚が、

このまま続けばいいのにって願った。

 

嫌な年齢になってしまったねって、

電話越しの会話が、

無音の街に消えてゆく。

20歳になった。

大人になった。

知らなくていいことも、

知りたくなかったことも、

知れる年齢になってしまった。

何も知らないあの頃も、

今もどっちも嫌いだけど、

今を生きてしまっているから、

少しだけ今に肩入れしておく。

 

門限もなくなった。

朝まで飲み倒して家に帰っても怒られなくなった。

子供の頃にはなかった快楽を知った。

いや、

知らされてしまった。

 

あの頃の私はまだ無垢で、

ポケモンカードの強さとか、

ゲーム機を持っているかどうかとか、

そんなくだらないことでできたヒエラルキーの中に閉じこもって、

公園の1番高い木に登ってみたり、

あちこちに落ちているBB弾を拾ってみたり、

親族の葬式の時に1人だけビール瓶の王冠を集めていたり、

“意味のない”ことを、

ただ純粋に楽しめていた。

 

何かをするには、

それなりの“意味”が必要になってしまって、

「多様性」という言葉の下敷きにされて、

他人を認めなきゃいけなくなって、

なんでこんなことしてるんだろうって、

時々立ち止まってくよくよして、

それでも世界は回っているから、

それから振り落とされないように、

必死になってしがみついて、

ほんと、

なにやってんだろうね。

 

“大人の階段”というものの、

1段目にかけてしまった右足を、

なんとか剥がして戻せないかと、

もがき苦しんでいる。

その1段先に、

今までとは違う景色が見えるのもわかっているし、

いつかは登らなきゃいけない1段なのも知ってるんだけど、

それを今生き急いで、

無理して登らなくてもいいんじゃないかなって。

そう誰かに言ってほしくて。

まだ子供のままでいいって、

見栄張って大人にならなくてもいいって、

そういう単純なことに気づきたくて。

気づけなくて。

 

今に肩入れするなんて言っておいて、

全然肩入れできてないね。