独り言

本当に独り言です

夕立の巻

夕立がやって来た。

 

時刻は昼過ぎ、再放送の刑事ドラマが中盤に差し掛かった頃であった。

今日は天気もいいし、少しくらい気分転換に散歩に出るかと思っていた矢先だったが、高く青く空に、続々と小さな雲が集まり始めた。

 

10分程して、大雨を予告する通知が携帯に届いた。

改めて空を見ると、ついさっきまで輝いていた太陽は薄雲に囚われ、南の方には不穏な空気が漂っている。

 

窓を開けて外を確かめると、南の空にとても分厚い、灰色の塊が浮遊していた。

その塊は、中心に近づくにつれて灰色に黒みを帯びており、その中心部分は、闇を抱えているのではないかと錯覚する程に暗かった。

 

その塊は、音もなくこちらに向かって移動していた。

上空に吹く風が段々強くなっているのが、雲の動きを見るとよくわかった。

 

次第に、南の方が見えなくなり始めた。

無数の雨粒がきめ細かなカーテンを作り、視界を遮ったのだ。

つい数分前まで見えていた遠くの建物が、一瞬にして視界の外に消えてゆく。

外界の明かりは遮断され、部屋の中も薄暗くなってしまった。

 

灰色の塊と雨のカーテンの境界は曖昧になっており、街全体が灰色の塊に押しつぶされたように見えた。

降りしきる雨。

視界は真っ白だった。

 

刑事ドラマが終盤に突入した頃、今度は南の空から青空が追いかけてくるのが見えた。

灰色の塊は重い腰を上げると、今度も音を立てずに、ゆっくりと北の空へと移動していった。

空が段々と元通りになってゆく。

 

雨が上がった街は、残された露が光を反射して、いつもより眩しく見えた。

 

[今日のプログラミング勉強時間] 4時間

[累計] 99時間