鳥籠の巻
やはり親と一緒にいるのは苦手だ。
親の後ろを歩いていてそう思った。
母の誕生日祝いを兼ねて、
夕食を外で食べることになった。
家から駅前のレストランまで歩く。
憂鬱だ。
親といると、
なんとなく「息子としての自分」を演じなければいけない気がしてしまう。
彼らはきっと私のことを、
いつまでも“子供”だと思っている。
さすがに20歳をこえてまで、
子供の役を演じるのは、
きついものがある。
たまにいい歳した女優が、
セーラー服を着て女子高生役をやったりするが、
私の感情は、
多分それを見ている時のものに近い。
私は鳥籠の中で飼われている姿を社会に見られたくないし、
鳥籠の中にいる私の姿を見て、
私の全てを知っているような顔をされるのも嫌だ。
社会に出ればもっと自由に羽ばたけるし、
もっと大空の下を好きに飛び回りたい。
人に飼われて空を飛ぶことを知らずに終わる文鳥より、
弱くても空を飛べる雀になりたい。
星に向かって飛んで、
死んでしまっても構わない。
早く、
この籠から出してくれ。