諦観の巻
今日、親に「お前は夏休み、ずっと家にいるのか」と言われた。
無論、そのつもりであった。
そもそもこのご時世だ。
遠くに出かける予定なんか入るわけがない。
電車に乗って新宿や渋谷に行くのですら嫌なのに、遠くになんか出かけられるはずもない。
出かけるなら徒歩か自転車で行ける範囲で済ませたいし、日帰りで十分だ。
仕事で各地を回っている親には、こんな気持ちはわからないのだろう。
それに私には、どこかに出かけたいという欲があまりない。
旅行が嫌いな訳ではないが、自分から旅行に行こうとは思わない。
「どこか遠くに行きたい」という抽象的な思いつきが生まれることはあるけれど、具体的に行きたい場所がある訳でもない。大抵そういう時は「ここではないどこか」に行きたいのであって、「ここ」以外ならどこでもよかったりするのである。
自分の中から生まれる欲は、だいたい「映画を見たい」「運動したい」「散歩に行きたい」の3つで、しかもそれらはほとんどが近所で叶えられる。
別に「買い物に行きたい」とも思わないし、「美味しいご飯を食べに行きたい」とも思わない。特に買うものもないのに買い物には行かないし、わざわざ外で高い金を払って食べなくても、家で十分美味しいご飯が食べられる。
たまに「温泉に入りたい」と思うことはあるが、それは単にのんびりしたいだけか、実家の風呂に飽きただけなので、近くの銭湯にでも行けば大方解決する。
特に何かに期待している訳でもない。
何不自由なく生活できている今がそのまま続いてくれれば、それで十分なのである。
